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ごあいさつ
「ほっとけない」から「ほっとけない運動」へ

茨城県更生保護女性連盟会長

60年余り前、日本の戦後は非常に貧しいものでした。貧しさからの非行や犯罪が多発し、特に青少年の心は将来への夢を描けずに荒んでいました。その姿に『ほっとけない』と、女性たちが立ち上がりました。それが更生保護女性会の始まりでした。

戦後60年以上過ぎた今、かつてに比較して人々の暮らしは物質的には恵まれています。でも人々は本当に幸せでしょうか。連日のように不幸な出来事が報道されています。「このままほっといてよいのでしょうか」と思うことで社会はあふれています。こうしたことに「何とかしなければならない」と思ったこと。そこに私たちが「ほっとけない運動」に着手した理由があります。

平成20年5月、日本更生保護女性連盟の新しい会長に、当連盟顧問の狩野安氏が就任なさいました。
「私たち更女は、『ほっとけない』という原点に返り、もう一度この合い言葉のもとに運動を進めましょう」
それが、狩野会長の第一声でした。

今の社会の状況を思い浮かべながら、その気持ちこそが今大切だと心に残りました。
そうしてこの年の秋、恒例のブロック研修会が終わった時のことでした。当時の清水幸男保護観察所長から『更女は来年度はどんな活動目標を掲げるのですか』と聞かれました。私は迷わず「『ほっとけない運動』をすすめ、茨城から発信します」と申しました。自分の中で新たな一歩を踏み出した瞬間でした。
その後、県連盟の理事会では、全会一致でこの事が承認されました。更生保護女性会の活動が「ほっとけない」という見地から、中身の新しいものになっていく歩みが始まったのでした。
平成21年、県連盟は、「更生保護を地域に広めるために『ほっとけない運動』をどのように展開するか。」このテーマに沿って会員研修を行いました。これまで50年続けてきた活動を、改めて「ほっとけない」という視点から検証して見直し、「ほっとけない運動」を掲げて活動をスタートさせることにしました。

私たちのこれまでの活動は、往々にして上部団体からの「今年はこんな活動をします」、「研修はこのように進めます」といった指示や呼びかけに応じて行ってきたように思います。これまで続けて来たことだからと続けていることも多いのです。

長年行ってきた活動であるだけに、なぜその活動が必要であるのか、それをしないとどうなるのかという意識が薄れてしまってはいなかったでしょうか。  「この現状をほっとけない」。そんな気持ちに動かされて活動に取り組むという更生保護女性会発足の原点に立ち戻って、現代社会の問題に取り組んでみる必要があると思うのです。

「ほっとけない運動」では、それぞれの地区会が地域で今、何が問題になっているかに気づき、問題を検証し、どうしたら良いかを自主的、主体的に考えることから始めます。そして、それを 「ほっとかない」。そのためには、更女だけで進めるのでなく、往々にして地域の関係機関、団体に呼びかけて、共に地域の問題として取り組んで行くことが必要になってくると考えています。
  連盟では、「ほっとけない運動」をより効果的に展開するために、会長、副会長、そして5ブロックの代表等からなる16名の推進委員会を立ち上げました。推進委員会では、情報の提供、連絡調整、活動記録のまとめなどを行います。その一環として、この度、この報告書をとりまとめることとなったものです。
この報告書では、連盟が地区会の申請を受けて指定した11の推進地区の報告を掲載することになりました。しかし、もちろんこの運動は、この11の地区会ばかりで実践してきたものではありません。県内その他の各地区会においても、「ほっとけない運動」の視点から、これまでとは違った意識をもって活動に創意工夫をこらし、よい展開をしていることを申し添えておきたいと思います。

「ほっとけない運動」を開始して3年が経過しようとしています。今日まで研修に研修を重ね3年目になろうとしてきた頃に、ようやく具体的に動き始めたという実感を持っています。その意味では、「ほっとけない運動」はまさに前進を始めたばかりなのです。そして、この運動は、今後も短い間に完結するということではありません。末長く続けていかなければならないものだと思っています。

今、県下すべての更生保護女性会が、戸惑いながらも「ほっとけない」の視点から、問題意識をもって課題に取り組んでいます。会員が、テレビや新聞報道などにもこれまで以上に関心を持ち、関係団体との情報交換をしたり、関係機関からお話を聞いたり、アンケート調査をするなど、新たな動きを見せています。そうして、気づき、考え、行動する時、時代のニーズに合った新しい活動が次々に展開されることを期待します。


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