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茨城県更生保護女性連盟の歩みとこれから

1.連盟設立の頃

茨城県更生保護女性連盟は、昭和33年10月9日、茨城県オパール婦人会連合会という名称で6地区169名により結成されました。初代会長は水戸市の島村哲子。この連合会のもと、各地区輪番制で連絡協議会が開催され、各所で未結成地区の方のオブザーバー参加がきっかけとなって新しい地区会が誕生していきました。

昭和37年5月、石垣美根が会長に就任、連絡協議会-は名称を代表者協議会に改められました。更に44年には代表者ばかりでなく、会員全員が出席するようにと総会に改められ、県内の更女活動は一段と活気づきました。この会員全員参加の精神は今日まで引き継がれています。

当時の活動の記録をみると、少年院を仮退院した少年たちに日用品を贈って励ましたり、就職を斡旋したり、更生のための資金を給、貸与するなど、その活動は目を見張るものでした。

毎月の定例会には全員が参加し、会員みんなの意思が結集され活動が進められました。定例会には常に主任官、保護司会長、時には関係機関の長が招かれており、適宜助言指導があったようです。地域から特に選ばれた高い志を持った先輩会員によって県連盟の礎が築かれました。

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2.躍進の昭和50年代

昭和50年代、当連盟は大躍進を遂げました。50年に事務局が新設され、初代事務局長に海野あきのが就任。規約の改正、研修体系の整備がなされました。51年に機関紙『梅林』第1号を発刊、52年には少年院などに良書を贈る「愛の募金」がスタートしました。今に続く組織の基盤がしっかりと作られた頃でした。

昭和54年当時の地区会数は20、会員数は773名でした。幾分増加はしても活動を広げるためには、会員が不足。他県との交流会を行い、会員増強のための研究討議等も行ったようです。

昭和59年4月に海野あきのが会長に就任、井原克子が事務局長となり、組織の更なる充実が図られました。この時会員数は1,000人を超えました。なんと云っても「数は力なり」。当時、努力目標は、未結成地区の解消と更なる会員増強であり、目標2,000名との記載があります。

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3.昭和から平成へ

当連盟は,茨城県更生保護婦人会連合会という名称を経て、昭和61年4月、茨城県更生保護婦人連盟に改称しました。翌62年11月26日には、県連盟結成30周年記念大会を開催しました。会員数1,200名中1,000名の参加があり,当時の会員の意識の高さに驚きます。県連盟の歌「花を育てるように」もこの時制定されました。

平成6年4月、井原克子が会長に、堀江やいが事務局長に就任。県内では、新たな更生保護婦人会結成の知らせが次から次へと続き、平成12年12月1日時点で、地区会数35、会員数も念願の2,000名を超えるに至りました。

平成14年4月、茨城県更生保護女性連盟に改称,事務局長には梅原貞子が就任しました。この間、周年事業を5年おきに行い、14年9月に45周年のつどいを行いました。

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4.平成の大合併から連盟50周年まで

平成18年井坂たけが会長に就任。町村合併による地区会の編成替えが大きな課題でした。合併によって地区会数は36から27に減少し、1地区会当たりの会員数も増加して、運営上のいろいろな問題が出てきました。

そこで連盟は、方針として「活動しやすい組織づくり」を掲げ、その結果、行政単位に分かれて会を立ち上げる地区会も出てきました。それにより『活動しやすくなった。分かれて良かった。』との声が聞かれ、また「一人一役」、「全員参加」の方針も維持できました。

平成21年常陸太田市更生保護女性会の発会により当県の更女未結成地区はなくなりました。

平成19年10月4日、私たちは、県民文化センターに於いて「県連盟結成50周年記念のつどい」を開催することが出来ました。つどいには県内外から多数のご来賓を迎え、1,200名の会員が相集い、顕彰式典、愛の募金の贈呈式を行いました。記念講演は日本更生保護協会、清水義悳事務局長により行われ、演題は『これからの更生保護女性会の活動について考える。〜 地域の人々に寄り添い、地域の中に更生保護の心を広める』というものでした。これからの活動の指針が明確に示されたように思いました。

記念事業として、児童自立支援施設「茨城学園」へのどん帳を寄贈、県連盟活動のビデオ作成、記念誌の発刊を行いました。そして、先輩たちの残してくれた膨大な記録の中から、発会の心に触れる記事や、活動の原点になると思われる部分を抜粋して。『梅林』50周年特集号を発刊しました。

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5.活動状況−原点に戻って− 「ほっとけない運動」のスタート

平成20年5月、日本更生保護女性連盟の新しい会長として、当連盟顧問の狩野安氏が就任されました。
「私たち更女は『ほっとけない』という原点に返り、もう一度この合い言葉のもとに立ち上がりましょう」。狩野会長の第一声でした。

県連盟理事会は、この指針に沿って「ほっとけない運動」を進めることを全会一致で決定しました。そして翌21年より、更生保護の心を広めるために「ほっとけない運動」をどのように展開するのかというテーマのもとに、会員研修を重ねることになりました。

「ほっとけない運動」では、これまで50年続けてきた活動を、改めて「ほっとけない」という視点から見直して検討し、活動を再スタートさせるということにしました。この運動を効果的に展開するために、会長、副会長、そして5ブロックの代表等からなる16名の推進委員会を立ち上げ、委員長として鎌田恭子、副委員長に又村和子を選出しました。そして初年度の推進地区を各地区会からの申し出制として、推進委員会との緊密な連絡のもとに進めてもらうことにしました。名乗りをあげた地区会は、次の11地区でした。

@「偏見や排除のない地域づくり」
常総市更女。犯罪前歴者に偏見を持ち排除に傾きがちな社会が「ほっとけない」
A「更生保護施設有光苑生の自立支援」
ひたちなか市更女。更生保護施設退所後に再犯に陥ってしまう苑生たちが「ほっとけない」
B「薬物乱用からの回復支援と乱用防止」
猿島地区更女。薬物乱用に走る青少年と薬物依存からの回復に取り組むダルクの人たちが「ほっとけない」
C「青少年を考える会」
土浦市更女。荒れる中学校の生徒たちが「ほっとけない」
D「非行と向き合う親たちの会の運営支援」
かすみがうら市更女。わが子の非行により悩み孤立する親たちを「ほっとけない」
E「自立援助ホームシオンへの支援」
稲敷地区更女。行き場がなく自立援助ホームに居住して愛情を必要としている子どもが「ほっとけない」
F「BBSともだち活動の推進による不適応中学生の支援」
石岡地区更女。落ち着いた学校生活ができない中学生たちが「ほっとけない」。(BBS会員を増やし、中学校の学習支援を促進する)
G「子どものケータイ電話を考える」
東海更女。ケータイに翻弄される子どもたちが「ほっとけない」 「街頭指導などによる青少年健全育成の取り組み」 茨城町更女。街でたむろして非行に走るなどしている少年たちが「ほっとけない」
H「万引きを防ごう」
日立市更女。万引きをする青少年の増加が「ほっとけない」
I「高齢者の犯罪被害を防ぐ」
鹿島地区更女神栖支部。振り込め詐欺,金融詐欺,交通事故の被害にあう地域の高齢者が「ほっとけない」。
推進地区以外でも、これまで続けられてきた活動に、人形劇、パネルシアター、紙芝居などを導入し、創意工夫しながら、他団体、機関、地域との連携のもとに活動を進めている地区会も多数あります。また対話や、交流集会も多くなりました。
この運動に取り組んでこれまでと違ってきていると感じることは、個々の活動について何故この活動をするのかということをよく考えるようになったことです。
「ほっとけない」という視点に照らして活動を考え、これからも続けるべき活動なのか、方向転換を考えるべきものなのかなどを、それぞれの地区会が考えるようになってきているのです。
昭和50年頃から県内を5ブロックに分けて開催してきたブロック別の研修会、そして平成21年からブロックごとに各地区会3〜4名が出席して年3回行われるブロック別情報交換会でも「ほっとけない運動」をめぐって活発な議論を続けてきました。
お互いの問題を出し合い向上を図る意味で、この新しい情報交換会は好評であり、「ほっとけない運動」の推進に当たっても有効でした。
J「たむろしている少年たちがほっとけない!」
茨城町更生保護女性会。パトロールを通じての青少年健全育成活動
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6.未知の明日へ

平成23年9月14日と15日の2日間、関東地方更生保護女性会員研修が当県筑波山、青木屋ホテルを会場に開催されました。研修会には狩野安日更女連盟会長や関東委員会柿澤委員長、交流会には、山口やちゑ副知事や市原健一つくば市長も出席され、県内外100人の更女会員とともに活気ある研修会となりました。

この研修会は当初北茨城市で開催予定のところ、3月11日の東日本大震災のため会場変更を余儀なくされ、被災県茨城での開催自体も危ぶまれましたが、関東各都県のご理解とご支援のお蔭により予定通り実施でき安堵しております。

この研修会には、茨城県の会員30名も出席させていただきましたが、各会員とも各都県の会員の方々の熱気ある意見発表に、更女活動の限りない広がりや可能性を感じ、会員としての気持ちを新たにすることができました。私たちの活動を導くものは、教科書や解説書ではなく、やはり現実の社会の在り様です。社会が多様であることに呼応して私たちの明日の活動も多様なものとなりますが、更女の会員同士、互いに学び合い、力を与え合うことによって、さらに新しい活動が生み出されるのです。

現在,茨城県の更女は33地区,1,856人。会員同士の心の交流を育み、豊かな更女活動を支える連盟であり続けたいと思っております。

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